万博が終わった。
静かに幕を下ろしたような気がする。5月下旬、会場を歩きながら、目に映るパビリオンや人の波よりも、どこか遠い記憶のようなものが胸の奥に浮かんでいた。
50年以上前、私の父も万博に行ったという。まだ若かった父は、未来への期待を胸に抱きながら、その会場に立っていたのだろう。高度経済成長のただ中、日本が世界に自分たちの力を示そうとしていたあの時代。父にとっての万博は、「これから」という言葉に満ちた場だったのかもしれない。
私が今回の万博で感じたのは、少し違う。「これから」というより、「ここまで来たんだ」という静かな確認だった。技術は進み、世界はつながり、しかし同時に複雑で、脆い。希望と不安が入り混じる時代にも、何かしらの未来はある。
帰り道、ふと父を思い出した。あの笑顔の奥に、どんな夢があったのだろう。私は父の時代の続きを歩いている。
万博は終わった。でも、人が未来を信じようとする気持ちは、形を変えて受け継がれていくのだと思う。


